「先生」って呼ばせないで
キャプテンになってから、告白される回数も手紙を貰う回数も増えた気がする。


誰だか分からない人から連絡先を聞かれたり、プレゼントを押しつけられたり。


それから守ってくれるのが梓だ。


梓はいつも、乃蒼に変な男が寄ってこないように!っていろんな男子をブロックしてくれる。


だから、いつものように手紙を捨てておいてとお願いしただけのつもりだった。


「おっけ〜。あ、そうだ。今日は帰り遅くなるんだっけ?」


「うん、そうなの。高松先生に用事頼まれちゃって」


このときも普通だったから、私は気にも留めていなかったんだ。


「高松先生に頼られてるのマジで羨ましい」


「頼られてるっていうか、雑用押しつけられてるだけだと思う…」


高松先生は女子テニス部の顧問。


若くてフレンドリーなため、女子生徒から大人気で、噂によるとファンクラブまであるらしい。


たしかにカッコいい先生だけど、私はなんの感情も持ってない。


ただの顧問。


練習には厳しい鬼顧問。


ただ、部員全員がそう思っているわけでもない。
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