「先生」って呼ばせないで
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「結局、転校して、中学3年の秋以降は普通に学校に行けるようになったんだけどね。未だに男の人が怖いし、テニスを見ると高松を思い出してパニックになっちゃうんだー」


持ち前のポジティブでここまで乗り越えてきたけど、トラウマはそう簡単には消えないみたい。


『無理して明るく振る舞うなよ』


「無理なんてしてないよ」


過去は過去。


私はもう立ち直ったし、高校生活になんの影響もない。


そりゃ少しの恐怖症は残ってるけど、中学生の頃に比べたら大したことじゃない。


『のんちゃんさ、自分のこと責めてる?』


「…え…?」


『のんちゃんのことだから、責めてんのかなと思って』


…私が梓に不快な思いをさせたのが悪い。


だから変な噂を広められて、学校に行けなくなっても、仕方ないと思ってた。


『のんちゃんが自信無さげなのも、そのせい?』
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