ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
そこへエヴラールが顔を出した。
足元にはリュカがついてきているが、見るからに落ち着きがない。
ルイーズはここ一週間でリュカとはだいぶ距離を縮めたのだが、どうも彼は父親であるエヴラールの前だと挙動不審になる節があるらしかった。
「私も共には行けないので、ディオン殿とベアトリス殿にお任せすることになりますが……。普段、なかなか外へ連れ出してやれないもので」
「うん、いいよ。リュカがいいなら」
「えっ!? あ、父上がお許しくださるなら……ぼ、ぼくも行きたい……!」
リュカはこくこくと何度も頷く。
一方エヴラールは、息子が喜んでいるというのにぴくりとも表情を変えない。
こちらもこちらで相変わらずな鉄仮面ぶりだ。最近は慣れてきたものの、ポーカーフェイスもほどほどにしてほしい、とルイーズは内心思っていた。
「ならば決まりですね。一応護衛の騎士はつけますが、邪魔にならぬよう離れて見守るよう言付けしておきます。ゆっくり楽しんできてください」
「ありがと、魔王さま。じゃあルゥは準備してくる。リュカ、またあとでね」
ばいばいと手を振って、ルイーズはベアトリスと部屋を出た。
静寂に包まれた廊下をるんるん気分で歩きながら、ベアトリスを振り仰ぐ。
「ベティもかわいくする?」
「いえ、わたしにはこれで十分ですよ。正直これも派手だなと思うほどですが」
ベアトリスは自身の服についた飾緒を軽く払いながら眉尻を下げる。
「でもベティ、すんごく似合ってるよ。かわいいけど、キリッともしてて」