ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~

 さすがにその懇願は突き放せなかったのか、グウェナエルはしばし唸ってから深く深く嘆息した。がっと前髪をかきあげながら、胡乱な目をディオンへと向けた。

「ディオン、頼めるか」

「……あなたも甘いですね。どうかと思いますよ、そういうところ」

「喧しい。絶対にルイーズを地面におろすなよ。極力動かすな。無理をさせるな」

「連れていく時点で無理はさせているのでは」

 しかしながら、こうなったルイーズが引かないということもよくよく理解しているディオンは、ルイーズをしっかりと抱き上げて魔法陣に入った。

「……陛下、世話をかけます」

「姫さまはわたしが必ずお守りいたします」

 沈痛な雰囲気を纏わせたエヴラールに続き、当然のようにベアトリスも入る。

「──飛ぶぞ。振り落とされるなよ」

 大人四名と子ども一名。若干窮屈ながらも、転移魔法は無事に作動した。

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