ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~

 そこまで考えたとき、なぜだか唐突に、ディオンに倣って忠誠の証を見せてきたルイーズを思い出した。同時に、胃がキリキリと痛み始める。

 誰かに跪かれてこうも背筋が凍るような気分になったのは、初めてだった。

 正直、あの感覚はもう二度と体験したくはない。

「……なにはともあれ。これからもルイーズをよろしく頼むぞ、ディオン」

「はい。たとえこの世界が滅びようとも、自分だけは姫さまの……ルイーズさまの味方でありますから、どうかご心配なさらず」

 頷いて返し、グウェナエルは憂いを宿しながらふたたび月を見上げた。

 それは熟しきった果実のような、淡く赤みがかった──少々、不吉な夜だった。

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