ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~
五章 ちびっこ聖女と新たな出会い
~五章 ちびっこ聖女と新たな出会い~
一瞬重力がなくなったかのように身体が浮いて、急激にストンッと落とされる。
まさにジェットコースターだ。てっぺんから急降下する際の、内臓がひゅっと竦むような、あの感覚。ルイーズは正直、何度経験しても慣れそうにない。
内心どきどきしながら瞼を開け、ルイーズは視界に捉えた光景に息を呑んだ。
「わ、暗い……」
天空を隙間なく覆う暗雲には、見覚えがあった。
とぐろを巻きながら稲妻を纏わせ、時折、地響きのような雷鳴を響かせる。その様子はザーベス荒野の上空に鎮座していたものとよく似ていた。
(どこもかしこも、不穏だなぁ……)
ルイーズはグウェナエルの腕のなかにいた。
ただし彼は、いつの間にか背中に漆黒の翼を携え優雅に飛んでいる。ここに来て初めて悪魔らしさを見たルイーズは、興味津々で父の肩越しに翼を覗き込んだ。
「パパ、飛べるんだ」