大嫌いなキミに愛をささやく日
「なんで煌人と一緒に帰らないといけないの?」

「こっちのセリフだっての。帰る方角が一緒って、ほんと嫌になるよな」



もちろん冗談で言った。

だけど凛は、グルンと向きを変えて学校に戻ろうとする。



「ちょ、おま!なんで引き返してんだよ!」

「そんなに煌人が嫌がるなら、時間差で帰ろうと思って」

「(それじゃ意味ねーんだっての!)」



いいから!――と、凛の手を掴む。



「ここで会ったのも……って言うだろ。つべこべ言わずに帰るぞ!」

「つべこべ言ってたのは煌人なのに……」

「それをつべこべって言うんだよ!」



ほら――と凛の向きをクルリと変えた、その時だった。



「!」



見知った影を、建物の影から見た。



「煌人?どうしたの?」
< 117 / 273 >

この作品をシェア

pagetop