大嫌いなキミに愛をささやく日
あまり年の離れていない父親を、凜は好きになってしまって、

そして、自分を好きな凛を、真さんも好きだとか?

だから凜の近くにいる俺の事が気に食わなくて、さっき俺たちを見てたとか?



「な、なわけねーか」



ないな。

さすがに、ないだろ。

そう思って、回れ右をする。

俺も自分の家に帰らなくっちゃな。



だけど、その時――



「!!」



見知った後ろ姿に、俺の心臓がドクンと跳ねた。



「(あの後ろ姿……)」



間違いない、真さんだ!

あのオシャレなスーツ姿で、すぐに真さんだと分かった。

だけど、なんでだよ?

会社に戻ったんじゃねーのかよ!?



「(もしかして、俺の予想通りなのか……?)」



真さんは、凜の事を好きすぎるあまり、凛を監視している――?



「(ゴクッ……)」



俺の背中に、無意識のうちに冷や汗が流れた。
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