大嫌いなキミに愛をささやく日
「ちょ、あき、」



バタン



ギャーギャー騒ぐ凛を無理やり引っ張り、家の中に戻す。

外から「鍵かけて大人しく待たねーと後でキスする」と言うと、途端に静かになった。

それはそれで腹立つな!

じゃなくて――



「さぁて、犯人のツラを拝みに行きますか」



握りこぶしで、手のひらをパンと叩く。

気合い充分、よし。



「こっちがお前の存在に気づいてるって、分かってないのか……。随分と能天気な事で」



住宅街に沿って街路樹が植えられている。

そのうちの一本に、とある影が潜んでいる。



「……いくぞ」



俺は後ろ足に力を込めて、思い切り蹴り出した。

そして、その影に向かって全力を出そうとした――


その時だった。

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