大嫌いなキミに愛をささやく日
「……」

「でもね、凛の事を思うと、何も怖くないんだ。あの子のためなら何でもしてあげたいって思うよ。

俺の大切な人たちが残した、何よりも大切な子。それが凛だ。

俺の手で、必ずあの子を幸せにしてみせるって……。

あの子の親になって毎日、そう思うんだ」

「……そうかよ」



気取った態度で返事をしてはいるが……

俺の負けだ。

完敗なんだ。



「(一生敵わねぇわ……)」



何か勝負をしていたわけじゃないけど、真さんには一生勝てないと分かった。


どうして凜が「唐揚げを褒めただけ」であんなに嬉しそうにしたのか。


それは――真さんが、自分のために一生懸命作ったのを知っているからだ。


自分のために、大事な真さんの時間を削ってまで幸せを分けてくれる姿を、その目で見ているからだ。



「(そうか、だから俺は、初対面の時に……)」


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