大嫌いなキミに愛をささやく日


――なーんか……嫌な感じなんだよなぁ。真さん



初対面で「苦手意識」を持った理由。

それは、真さんには一生敵わないと、本能が勘付いたからだ。

俺の持ってないものを持っていると、そう思ったからだ。



「(親が子を思う愛……か。さすがの俺も勝てねぇわ)」



クソ、負け戦だ――


そう思っていると、真さんが「鳳条グループには感謝してるんだ」と目を伏せた。



「なんでウチが……?」

「簡単だよ。ニートの俺を拾ってくれた」

「あんたニートなのに、凜を子供に引き取ったのかよ!?」

「若いっていいよね~。何も考えずにポンポン行動しちゃう無謀さが」



あはは~と笑う真さんに、思わず肩の力が抜ける俺。

尻もちをついたままだった事を思い出し、立ち上がろうと腰を浮かす。

すると「はい」と真さんが、俺に手を伸ばした。
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