大嫌いなキミに愛をささやく日
「っ!」
煌人とこんな近い距離……恥ずかしい。
そう言えば、抱きしめられるのって、車の中で以来……かな。
じゃなくて!
っていうか、待って。
心の準備が……っ!
「あ、煌人……ちょっと、離れて」
「ヤだね」
「は、離れてってば!」
「ヤダ」
離れるどころか、煌人はギュッと、更に私を強く抱きしめた。
お互いの心臓の音が、お互いに聞こえてるんじゃないかって、そんな近さで。
煌人は私を、決して逃がさず、捕えておく。
「(前もだったけど、どうして煌人は、こういう時いつもいきなりなの!?)」
パニックになって、頭がグルグル回り始める。
だけど、脳に無理やり「落ち着く」よう指示を出す。
すると、不思議な事にだんだん。
いつもの調子が出て来て……
「最近私を散々に避けてたくせに、こういう時だけ不用意に触らないでくれる?」