大嫌いなキミに愛をささやく日
「……」

「この前、煌人に……”自分のしたい事や言いたい事は、ちゃんと口に出して”って、偉そうに言ったばかりなのに」



結局、全然変われてなかったのは……私の方だった。

私は何も、変わってない。

両親がいなくなった日から、お父さんと距離を縮めているようで縮められていないかも、と。

そう思うと無性に虚しくなって、悲しくなって。涙が出た。



「う……っ」

「……誰にも言わねーよ」

「……煌人」



泣いてる私をさすがにおちょくらなかった煌人は、そんな事を言った。



「うん……今の私を秘密にしてもらえると、助かる」



だけど、私の思っている事と煌人の思っている事は違うようで。

煌人は「まずはお前が変わる番だな」と、私の頭を撫でた。



「変わる?」

「だから、お前の口から、直接――真さんに言え」

「……へ?」

「さっきの事、全部」

「!?」



な、なに言ってんの!?

コイツ、何言ってんの!?



「私とお父さんが、繊細な関係だって知ってるよね!?」

「だから何だよ」

「なんだよ、って……」



煌人は私の頬に、手をやった。

私が膝の間から、一瞬だけ顔を上げた、その隙に。



「繊細なもんはな、叩けば叩くほど硬くなってくんだよ。壊れにくくなんの」
< 167 / 273 >

この作品をシェア

pagetop