大嫌いなキミに愛をささやく日


キキキ―



電車がすごい音を立てて、ブレーキを踏んだ。



「わっ」



あまり電車に慣れてない私は、思わずこけそうになってしまう。

そんな私を、グイッと煌人の手が、強く引っ張った。

そして、



ポスッ



「おま、危なっかしいなぁ、もう……」

「ご、ごめん……?」



いつの間にか、煌人に抱きしめられていた。

その間、私の心臓はやっぱりドキドキと鳴っていて。

窓を見なくても、自分の顔が真っ赤だと気づいてしまう。



「(これは、お父さんに相談してもいい事……なのかな?)」



照れや恥ずかしさも、まるまる曝け出していいんだろうか?

「誰かに話したい」と思った事を、お父さんに全て言いたい。

聞いてもらいたいって、今ならそう思う。



「(だから煌人の事も、話していいんだよね?)」



でも……やっぱり煌人の身が心配になるからやめておこうかな。

「ウチの娘を取るなー!」とか言って、お父さんが暴れそうだし……。



「……ふふっ」
< 177 / 273 >

この作品をシェア

pagetop