大嫌いなキミに愛をささやく日
『あ、たり前、だよ……っ』

『もしお父さん(俺)の悪口を言いたい時は、耳を塞いでおくから大丈夫だよ』

『……っぷ、なにそれ!』



あまりの自虐ネタに面白くなって、私はプハッと笑った。

するとお父さんは、ふわりと私を抱きしめ「おかえり」と、また笑う。



『待ってたよ、凛』

『お父さん……』

『帰ってきてくれてありがとう』

『……~っ!』



こんな私でも「待っててくれる人」がいる。

こんなに一番近くで、ずっと。

それは本当に幸せな事なんだと、私はやっと、気づく事が出来た。



『私、お父さんに聞いてほしい事が、たくさん……たくさんあるのっ』

『そうか。お父さんもね、凛の事なら何でも聞きたいよ。

だから――凜が話したい事を話してごらん。

これでも食べながら、ね?』



そう言って、お父さんが腕を上げた。

その手は、小さな箱を握っている。



『これは?』
< 183 / 273 >

この作品をシェア

pagetop