大嫌いなキミに愛をささやく日
「はーい。何も夏直前にしなくったってね。暑すぎるよ……」

「それは言っちゃいけないよ。それに、鳳条くんを応援してあげてよ。我ら赤組の旗手(きしゅ)なんだから」

「う、うん……」



そう。煌人は一年生であるにも関わらず、なぜか三年が行うはずの旗手を張り切って務めることになり……。

自分の背の倍以上の大きな旗を「これでもか」というほど高く掲げ、ホイッスルで皆に指示を出しながら、一番前を行進する。

だけど、今にも倒れそうな煌人に、それが出来るのかな……。



「(団旗と一緒に風に飛ばされたりして……)」



なんて冗談を思いながら、若干の不安を抱きながら。

私たちは着替え終わった後、運動場へ集合した。

するとそこには、我らが旗手様が、大きな旗を手に、皆を待ち構えている。



「おー凛」

「あ、煌人……」



平然を装っているけど、やっぱり顔色が悪い。



「ね、ねぇ煌人。ちょっと休んだ方が、」

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