大嫌いなキミに愛をささやく日
「(色々ムリって、なに……?)」



倉庫の中は、一人が精いっぱい。

なのに、無理やり二人で入ってるから、どうしても密着してしまって。

煌人が私を抱きしめてるままの状態から、動くことが出来ない。

小窓が一つついていて、かろうじて中の状態を見ることが出来た。

と言っても、こんなに狭い場所だと、目は見えても視界不良だけど。



「まずはドアを……」

「おい、やめろ。その辺……触るな」

「え、これドアじゃないの?」

「ちげーよ!ヘンタイ!!」

「へ……!」



ヘンタイって何よ!

じゃあ私、さっきは一体なにを触ったっていうのー!?



「(もう嫌だ。ドアを壊してでもいいから逃げてしまいたい……)」



もう「無」になろう。

無心で、ただひたすらドアを開けることだけに集中しよう。



そう思っていたんだけど……



ガタガタ、ガタン

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