大嫌いなキミに愛をささやく日
出来る限り手を振って、思い切りドアを叩く。



「誰か!誰か助けてー!!」

「だから大声出すなって……」

「でも、このまま大人しくなんて――無理!」



そう言うと煌人は、一瞬だけ目を開いた。

そして、眉を八の字にして弱々しく笑う。



「凛……バカだなぁ。お前」

「こんな時に笑わないでよ」

「笑うくらい許せよ……」



煌人の息が荒くなってきた。

煌人が、私の目の前で、どんどん弱くなっていってるようで……。

今まで出ていた私の汗が、一気に冷えたものに変わる。



「煌人……っ」

「おわっ」



むぎゅっ



私は煌人を思い切り抱きしめ、そして頭を撫でた。

煌人は目に見えるほど「?」マークを頭に浮かべていて……



「何、してんだよ……?」



素っ頓狂な声で、そう聞いた。


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