大嫌いなキミに愛をささやく日
「何するの?」と不思議に思っていると、

二人の顔が互い違いに傾き、そして、だんだんと近づいていく。

近づけば近づくほど、煌人のすごく真剣な顔が……威圧感があるように見えて。

私は何も抵抗が出来なくなって。

ただギュッと、両手を強く握る事しか出来ない。



「あ、煌人、っ」

「黙って」

「っ!」



怖い――と。

そう思ってしまった、その時だった。



バンッ



「……」

「……え?煌人?」

「あ……っぶね」



いきなり。

煌人が、倉庫の壁を思い切り叩いた。

そして「はぁぁぁ……」と深い息をついている。



「煌人……大丈夫?」

「……」



何も言わないから、何かあったんじゃないかと心配する私。

だけど、当の本人は――

ボソリと、ある事を呟いた。



「たった今キスされそうになったってのに……俺の心配してんじゃねーよ」
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