大嫌いなキミに愛をささやく日

そして種目は進み――

現在、地区対抗リレー。


組とは全く関係ないところでも、煌人のファンは根強く彼を応援しているらしく。

現在、私が休憩している赤組のテントでも、煌人ファンがウチワをメガホン代わりに声援を送っている。



「キャー!鳳条くん頑張れー!!」
「見て―!先輩を抜かしたよ!」
「何してもカッコいい王子様ー!!」



頬を染めて黄色い声を上げる女子。

対するは、

欠点なしの煌人を、僻(ひが)んで悪口を言う男子。



「やっぱ生まれ持った物が違い過ぎるよなぁ」
「そーそ。本来、俺らに与えられる能力も全部さあ、」
「鳳条が横取りしたんじゃね?」



「(……何を言ってるんだか)」



正直、聞いていて気分が悪い。

この人たちは、煌人が色んな事に一生懸命(過ぎるくらい)頑張っているのを、知らないのかな。



「大体、鳳条は恵まれ過ぎなんだよ」
「家も金持ちだしなー」
「ずりいよな」



「……」



聞き流せばいい事なんだろうけど。

私以外が煌人の悪口を言うのは気に食わないっていうか。

だから、かな。
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