大嫌いなキミに愛をささやく日
泡音ちゃんにそう言われて、煌人もさっきの私の言葉を思い出したのか……。
へへと。
だらしない顔で、へにゃりと笑う。
「なぁ泡音ちゃん。俺って幸せ者すぎだろ?」
「(すぐ自意識過剰になる所が、鳳条くんの”残念”な所なんだけどなぁ)」
こういう場面で、もっとスマートに対応してれば、もっとカッコいいのに。
と泡音ちゃんは思う反面。
でも――と、日ごろの私を思い出す。
「凛は紳士な鳳条くんが嫌いって言ってたから、素直で残念な鳳条くんで問題ないか」
「その言葉に俺はどう反応したらいいの……じゃねーや、行かねーと」
「はいはい、頑張ってね~」
「おう、ありがとう。泡音ちゃん」
そう言い残し、選手が整列する場所へビュンと走って行った煌人。
泡音ちゃんは「結局、凛は誰が探すの?」と首を傾げていた。