大嫌いなキミに愛をささやく日
*煌人*
*煌人*
「位置について、よーいドン!」
ピストルのパンと弾ける音で、俺は後ろ足を蹴り、前進する。
見るのは足元でなく、前。それのみ。
そして風の向きさえも味方にして加速し、一番前へ踊り出る。
「ん?」
走っている途中に気づいた、とある違和感。
今……。あれ?ん?
「借り物が書いてある紙」が置いてある場所に、今……一瞬だけ、黒い影が見えたような。
ゴミでも飛んでんのか?
「(いや、やっぱ気のせいか……)」
そうこうしている内に、地面に置かれてある紙に辿り着いた俺。
一番近くにある紙を拾い、そして中身を確認する。
そこには、
「(自分にとって大事で好きな人を連れてこい――だと!?)」