大嫌いなキミに愛をささやく日
慌てた俺が、女子たちを止めようとした、

その時だった。


パシッと。


俺の手を握る「誰か」の手。



「え――」

「……」



その「誰か」は。

眉間にシワを寄せて、女子達を見ていた。

俺の手を掴んだまま。

俺の――を掴んだまま。

そして震える声で、静かに話し始める。



「お願いが、あるの……」



凛は、女子たちを真っすぐに見ながら言った。

女子たちは「何この人」という感じで、迷惑そうに凛を見ている。

だけど――凛は怯まなかった。

俺を握るその小さな手が。

カタカタと震えているのが、しっかりと俺に伝わっている。



「(凛……)」

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