大嫌いなキミに愛をささやく日
お前は今、戦ってるんだな。

「校舎に勝手に入るな」って、女子達にそう言いたいんだろ?

凛は真面目だもんな。大真面目だもんな。

そんな凜が、この女子達を許すわけねぇよ。


なんて。


そんな事を考えていた俺。


だけど、次の瞬間。


凛の口から出て来た言葉は――



「煌人って、呼ばないで。

煌人って呼んでいいのは……私だけなの」



「っ!?」



今、なんて言った……?



「(凛が、俺の事を……また庇った?)」



しかも、最大級の庇い方で。

愛さえも感じる言い方で。



「(あの凜が?ウソだろ……?)」



俺が驚きで目を開き凜を見る、その間も。

凛は女子たちに「負けまい」と、一歩も引かなった。

カタカタ震える手で、一生懸命に俺を掴んでいる。

そして緊張で息が上がっているのを隠しながら、ひたむきに立ち続けていた。


その姿は――
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