大嫌いなキミに愛をささやく日
『ごめんね、だけどありがとう』



告白を断る時に思っていたのは、
「凛に言ってもらいたいなぁ」って事。



『鳳条くん、下の名前で呼んでもいい?』

『ごめんね、今まで通りがいいかな』



どれほど可愛い女子に言い寄られようと、俺が思うのは「名前で呼んでほしいのは凛だけ」とか。



『どれだけ凜の事が好きなんだよ、俺……!』



自分のチョロさに落ち込むこともあった。というか、落ち込まない理由がない。

どんどん凜にはまっていく俺とは反対に、凛は全く変わらず俺を敵視してるんだから。



だけど――



たくさんの女の子を悲しませても尚、俺は凜から目が離せなくって。

どうしても、その口から罵声じゃない甘い言葉が聞きたくって。

凜はいつ俺の方を向いてくれるのかって、気づけばそんな事ばかり考えている。



のに。

当の本人ときたら……。




――現在――




「なぁ凛、今日一緒に帰らねぇ?」

「ごめん、嫌」



こんな塩対応。



「おい”嫌”はねーだろ。もっとなんか言い方が、」
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