大嫌いなキミに愛をささやく日
「アイツ俺を抹殺しようとしてたのかよ!」



なんだよそれ怖すぎ。

ってか、アイツ本当に、俺を恋の対象として見てねーじゃん。

全く揺さぶられてねーじゃん。



「(むしろ俺の方が揺さぶられてる……)」



心のブランコが、風をきって、すごい角度でビュンビュンと揺れている。

俺を落とさんとする勢いだ。



「はぁ……」

「あ~……えっと、」



俺の落ち込み具合を見た泡音ちゃんが、手をヒラヒラさせて顔を覗き込む。



「ごめん、つい本当の事を話したけど、メンタル大丈夫?」

「何とかしがみついてる……」

「え、何に」



「はぁ」と四度目のため息をついた時。

ふと、ある事に気づく。



「凛、遅くね?トイレだろ?」

「女子のトイレを勘付くもんじゃないよ鳳条くん。凛なら、さっき教室を出ていったじゃん」

「うん」



それは見た。

見た、けど……



「だから、もう帰ったって事」
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