大嫌いなキミに愛をささやく日
「そんな事は言わない!」



断じて!

ってか、なんでそうなるんだよ。

どこまでいっても俺は、そういう「残念な男」のポジションなのかよ。



「はー疲れた……」



全力ダッシュしてきたのが、アホらしくなってきた。

力が抜けて、思わずその場にしゃがみ込む。


その時、



「君は、もしかして鳳条煌人くん?」

「……そう、ですけど?」



凛と一緒に帰る予定の「先輩」が俺の前にやって来た。

そして、しゃがむ俺に視線を合わせる。



「初めまして。凛ちゃんと仲良しなんだね。けど、すごい汗だ。良かったら、どこかお店に入らない?休憩がてら、二人の事をもっと知りたいし」

「……」



ニコニコ笑顔だ。すげー笑顔だ。

「何か裏がありそう」な嘘っぽい笑顔。
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