大嫌いなキミに愛をささやく日
「ね、どうかな?」

「……」



いや、考えすぎか。

俺が「そういう目」で見る癖がついてるだけで、この人は、きっと何の打算もなしに声をかけてくれたに違いない。

言わば、善意だ。良心だ。



「(人畜無害、かな?)」

「あれ、凛ちゃん。髪の毛に葉っぱついてるよ。取ってあげる」

「え、すみません」

「!?」



やっぱ訂正。

この先輩は油断ならないと、俺の本能が言ってる。

「どうかな?」と俺への勧誘を諦めない、鋼のメンタルも見逃せないし。



「ちょ、先輩……。
煌人はもう帰って?ね?」

「(なんで先輩が残って、俺が帰るんだよ)」



凛のこういう無神経な所に、俺のメンタルに追い討ちがかかる。


俺は凛に告白してるってのに……。凛の中では、全く意識されてない。


だからこそ出てくる「お前は帰れ発言」。



「(もっと俺に気を遣えって話だけど……しかし。そうだな)」


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