大嫌いなキミに愛をささやく日
ドアの取っ手に手を伸ばした瞬間。私はバランスを崩し、ノートタワーは崩壊した。

バサッと、床に盛大に広がるノートたちを見て、思わずため息が出る。



「はぁ~、最悪だよ」



でも自業自得か、とノートを集めていた、

その時だった。



「大変そうだね、手伝うよ」

「え?」



私が困っているのを見過ごさず、すかさず手を貸してくれた人。

それが先輩だった。

長身に、猫っ毛な黒い髪。少しだけ長い襟足が、よく似合ってる。



「英語のノート?女の子一人で、クラス全員分を持つのは大変でしょ」

「いけると思ったんですが、ダメでした」



「はは」と苦笑いを浮かべると、先輩も「ふふ」と笑って私を見る。

「私を見る」と言っても、先輩が見ているのは、半袖で顕になってる私の腕。

そこをスッと指さして「ココがね」と言った。



「だいぶ赤くなってるよ?」
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