大嫌いなキミに愛をささやく日
「で、さっきの凛からの質問の答えだけど」
「?」
何か質問したっけ?と思っていると、煌人が私の長い髪を一束だけ手に取った。
サラサラと、まるで大切な物を扱うみたいに……丁寧に髪を触っている。
「ちょ、ちょっと……!」
「ん?あ、悪い」
「(び、ビックリした)」
ただ煌人に髪の毛を触られているくらいで……どうも居心地が悪い。そうか、きっと嫌悪感だ。
不用意に触るなって言おう――と。私がそう思っていた時。
煌人が「質問の答えだけど」と、さっきと同じ言葉を繰り返した。
「今日、傘を持ってこなかったのは、わざと。
ついでに、友達と一緒に帰らなかったのも、わざと」
「え?」
「今日は執事も迎えに来ない」
「じゃあ……」
何のために、ずっとここにいたの?
そう聞くと、煌人はニッと笑って私を見た。
「寝てる凛を一人残して帰れるかよ」