大嫌いなキミに愛をささやく日
「凛。お前、俺のために……?」

「(あ、しまった)」



ここで煌人を喜ばせると、後々面倒なことになりそう。

なので、早めに先手を打っておく。



「女の子に、煌人が摘まんだお皿を渡すわけにはいかないでしょ」

「あ、そうだよな。女の子のためだよな……」



語尾に「どうせ俺のことなんて」と聞こえたけど、スルーしよう。

これ以上関わると厄介そうだし、早めに退散するに限る。



「じゃあ。次は気を付けてよね」



私の言葉が全く耳に入っていなかった煌人をチラリと見ると、隣にいた女子と目が合った。

そして――



「……」

「っ!」



冷たい視線と、目が合った。


それは一切の遠慮なく、真っすぐ私に向かっていて……。


私はあの女子から嫌われていると、簡単に分かってしまった。



「(煌人の事なんて、やっぱり放っておけば良かった……)」



ガタッ



「お疲れ様~どうだった?守護神は」

「……」

「凛?」
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