大嫌いなキミに愛をささやく日
「むしろ、今日限りにした方がいい。鳳条くんのためにも」

「え、今日?」



それは急すぎるし、何だかナル先輩に申し訳ない。

ナル先輩が、私と帰るのが楽しいと思っているかは、分からないけれど。



「ナル先輩も”ここまで”って期間を言いにくいのかもしれないし。凛から提案してみたら?」

「うん、そうしてみる」

「それに、付き合ってもない男女が二人きりでずっと一緒に帰るのも、変な話だしね」

「(男女二人きり……)」



煌人に告白された日の事を思い出す。

傘をわざと忘れたと、そう言った煌人。


結局。


私の傘を煌人が持って、煌人の隣に私が並んだ。

狭い傘の下、二人の肩が何度もぶつかったのを覚えている。靴から跳ねる泥水も、なぜか気にならなかったっけ。


あれも、男女二人きり。

ていうことは「変な話」なのかな?



「あの日……私は特別、イヤとは思わなかったな」
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