1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい
「マリアっ!!……くっ、しっかりしてくれ!!マリア!!」
マリアの後頭部から滴る血が地に染まっていく。自分の着ていた服を破ってマリアの後頭部を抑える。誰か医者をっ!!と叫んでいる人の声がする。
はやく、はやく、はやく!!早く医者に診てもらわなければ!!なぜマリアはこうなったんだ、なぜマリアは殴られなければならないのか。
どうしてどうしてどうしてっ───!!
────……なぜ、神は俺たち二人から何もかも奪っていくんだ。なぜ俺たちには何も与えてくれないのだ。
今は古代。神も、神話とされている竜も、実在する時代だ。幸せそうな人間がいる。苦しそうな人間がいる。金持ちな人間がいる。何もなくて死にそうな人間がいる。生きたいと思う人間がいる。死にたいと思う人間がいる。
昔も今もこれからも、神は人々に平等を与えてはくれない。同じ幸せや苦しみを与えてはくれない。だけど何もない人間にも、掌に収まる分だけの小さな幸せでもいいから、与えてほしい。…そう、願ってしまうんだ。
「くっ……。どうして…」
何も持っていない人間にも、地位も名誉もない人間にも愛している者はいると神に伝えたい。
たった一人、たった一人を愛せるのなら俺はもう、それだけで十分すぎるほど幸せだ。一緒に生きて、笑って、二人で愛を育んでいく。それだけが、ただ一つの願いだったのだ。
俺はマリアを愛している。だから、だから…マリアだけはどうか俺から奪わないでくれ。
「道を開けろっ!」
沢山の人間の間から、大きな鞄を背負った男が現れた。
「医者だ!彼女を診せてみろ!」
マリアの後頭部を抑えていた俺の手を、医者が引き継ぐようにして、そこに手を当てる。それからはすぐだった。医者は何やら俺には分からない言葉を言いながら診察を終えた。そして俺の方に向き直りこう告げた。