1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい
敵の元へと走る。みんな、死なせたりなんかしない───!
タラニスの剣が、淡い光を放つ。その光はタラニス自身を輝かせ、彼に力を与えた。彼の一振りが敵である人間たちを次々と薙ぎ倒していった。
信じられないほど、彼には“力”が宿っていた。大きな戦いだったはずなのに戦争が終わっていく。
タラニスは息をするのも忘れて、力を解き放った。その戦いで死んだローマ軍は誰一人としていなかった。彼の言ったことが現実となったのだ。
『必ず、みんなを守って見せる。死なせたりなんかしない』
その言葉は軽くなんかない。とても重い、タラニスの本心だった。そして聖騎士長の予言通り、タラニスは英雄となった───。
***
その戦いはいつしか伝説となって沢山の人々に受け継がれて行くだろう。タラニスは2千人の騎士を誰1人として死なせなかった。その功績は皆に称えられた。
英雄となったタラニスは、次々と戦に勝ち、ローマ帝国という国を大きなものにしていった。
彼の強さにはもう誰一人として勝てる者はいなかった。そんな彼に聖騎士長はある任務を手渡した。
「君に竜の討伐を使命する」
そう言い渡された日から3日が過ぎていた。1人で悩んだ。聖騎士長にそう言われたことをまだアレッサンドロには伝えていない。
彼はどんな反応をするだろうか。竜討伐なんてそんな危険なことをするなと止められるだろうか。なぜそんなことを引き受けたのかと怒られるだろうか。
伝えなければならない。アレッサンドロやアルベス、そしてマリアの3人に。
マリアとアルベスには英雄となったことや竜の討伐を使命されたことを伝えよう。アレッサンドロには一緒に竜の討伐について考えてほしいということを伝えよう。
そう思ったその日、俺は2年ぶりにアルベスの家へと訪れた。2人は元気だろうか。病気にかかってはいないだろうか。マリアは今も笑って生きているだろうか。