愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
それまで彼が住んでいたマンションで新生活を始めるのだろうと思っていたのだが、『今の家は狭いから、ふたり暮らしにちょうどいいマンションを買う予定』とプロポーズから間もなくして言われたのだ。

リビングが二十畳の2LDKは、朝陽にすると狭いらしい。

新居はハワイ旅行で宿泊したロイヤルスイートに負けず劣らずの豪華さだ。

一階の広すぎるリビングには大画面のテレビと十人が座れるソファセットが置かれ、六人掛けのダイニングテーブルと大きなアイランドキッチンもある。

長年の節約生活が染みついた成美は、家具や家電を買わなければならない時は真っ先に値段を気にする。

それで『インテリアをどうしようか?』と聞かれても答えられず、すべてを彼に任せた。

成美の好きな色や雰囲気を聞いて彼がコーディネートしたリビングは、白と茶色が基調となっている。

壁とフローリングは白く、備え付けのテレビボードと壁面収納の扉、ダイニングテーブルは味わい深い木目だ。

差し色としてクッションやカーテンは明るい緑の生地を使っていた。

自然の温かみが感じられる配色で、優しい雰囲気の部屋を成美はひと目で気に入った。

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