愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「許可がいるの? 旦那さん厳しい人?」

「いえ、とても優しいです。きっと好きな時に友人を招いていいと言ってくれると思います。でも私ではなく主人が購入した家なので、勝手なことはしたくないんです」

「相変わらず、かったい考え方」

呆れ顔をした梢だが、その後に考え込んでいるような目でじっと見つめてきた。

「梢さん、どうしました?」

「うーん、成美がどうしてハイスペ旦那をゲットできたのか不思議で……あ、ごめん、悪口じゃないから」

同僚であり友人でもある梢に嫌われていると感じたことはないので、素直に頷く。

「結婚式の写真の旦那さん、めっちゃイケメンだった。それで優しくてお金持ちなら、なにもしなくたって女の方から寄ってくる。よりどりみどりでしょ。それなのになんでわざわざお見合いしたんだろう?」

朝陽との深い事情まで話していないため、初めてお見合いで出会い、とんとん拍子に結婚したと思っているようだ。

梢は急にハッとした顔をして、眉根を寄せる。

「相手がお見合いを断れないツテが成美にあったの? 借金返済中だとか言っておいて、実は没落お嬢様?」

< 143 / 282 >

この作品をシェア

pagetop