愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
しかし朝陽にしたら妻が傷つくのだけは避けたく、二度と母親に接触させるつもりはなかった。
今朝の約束通り一緒にしいたけの肉詰めを食べ、テレビを見ながら他愛ない会話を楽しみ、二十三時半頃に寝室に入った。
ベッドに腰かけた朝陽は、なにかを思い出したように「あっ」と声を上げた。
「どうしました?」
こちらを向いて横になった妻が聞く。
「スケジュールの変更を秘書に伝えるのを忘れていたんだ。この時間、電話に出てくれるかわからないがかけてみるよ。成美は先に寝ていてくれ」
「おやすみ」と軽く唇を奪ってから、寝室を出た。
秘書への連絡というのは、妻を心配させないようについた嘘だった。
隣の自室に入り、黒革のワークチェアに腰かけて携帯電話を構える。
電気をつけていない真っ暗な部屋で、画面が青白く光った。
(今すぐ俺にできることと言えば、これくらいか。気は進まないが)
電話をかけた先は父親だ。
結婚した息子については放っておけと、父から母に注意してもらおうと思ったのだ。
朝陽は父に尊敬と畏怖を感じており、話す時は自然と背筋が伸びる。
今朝の約束通り一緒にしいたけの肉詰めを食べ、テレビを見ながら他愛ない会話を楽しみ、二十三時半頃に寝室に入った。
ベッドに腰かけた朝陽は、なにかを思い出したように「あっ」と声を上げた。
「どうしました?」
こちらを向いて横になった妻が聞く。
「スケジュールの変更を秘書に伝えるのを忘れていたんだ。この時間、電話に出てくれるかわからないがかけてみるよ。成美は先に寝ていてくれ」
「おやすみ」と軽く唇を奪ってから、寝室を出た。
秘書への連絡というのは、妻を心配させないようについた嘘だった。
隣の自室に入り、黒革のワークチェアに腰かけて携帯電話を構える。
電気をつけていない真っ暗な部屋で、画面が青白く光った。
(今すぐ俺にできることと言えば、これくらいか。気は進まないが)
電話をかけた先は父親だ。
結婚した息子については放っておけと、父から母に注意してもらおうと思ったのだ。
朝陽は父に尊敬と畏怖を感じており、話す時は自然と背筋が伸びる。