愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
自分の場合はつわりが軽くすんだことや避けている食べ物について、生まれたら育児に追われて他に手が回らないだろうから今のうちに十分なベビー用品を揃えたり、赤ちゃん仕様に部屋を整えたりしている話をした。

「この子を守れるのは私だけなんだという責任を感じています。会える日が待ち遠しくて、でもずっとお腹にいてほしいような気もして、毎日が幸せで楽しいです」

安心してマタニティライフを送れるのは夫のおかげで、改めて感謝している。

その一方で少し困っていた。

カフェの前での朝陽の心配性ぶりを話したら、ベーグルサンドを頬張った梢に「のろけ?」とツッコミを入れられた。

「そんなつもりじゃ……」

「そう聞こえたよ。旦那に愛されまくって困っちゃうって。まったく羨ましいわね。アカフジ電機社長の御曹司? しかもイケメンで一途。そんな人、他にいないから大事にしなよ」

これまでは聞かれなかったので夫の勤め先に関して話さなかった。

しかし従業員の前で退職の挨拶をした時に店長から『今までご苦労様でした。ところで旦那さんはどこにお勤め?』と聞かれて、隠すことではないと思い正直に言ったのだ。

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