愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
築地市場近くの乾物屋や稲荷神社など、寄り道したと言っていた場所を探し、もし見つけたら連絡をくれるよう従業員にお願いしてきた。

もちろん、もんじゃ焼きの店にも確かめに行ったが、残念ながらまだ見つかっていない。

目を皿のようにしながら下を向いて歩くのは、腰への負担が大きい。

もっとお腹が大きかったら、探すのは無理だったろう。

足を止めた成美は遠くを見ながらため息をついた。

ついに完全に日が沈み、川の色が一段と濃くなる。

遊歩道沿いにはベンチがあり、吸い寄せられるように腰を下ろしてだるくなった足を労わった。

お腹に子供がいることは忘れていない。

焦りを感じつつも休める場所を見つけて時々座るようにしていた。

休憩すると寒さを感じて、自分の体を抱きしめる。

自宅を出た時には二十度超えの暖かさだったので、ブラウスの上に薄手のカーディガンという軽装だ。

日が落ちると気温がグッと下がり、そろそろ帰ろうかと迷いだす。

(体を冷やしたくない。今日は家で食べると言っていたから、朝陽さんのお夕食の準備もしないと)

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