愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
帰らなければならない理由を心に並べたが、夫の母の悲しそうな顔が頭から離れない。

諦めると言っても、本心はそう思っていないはずだ。

(あと三十分だけ探そう)

疲れた体に鞭を打って立ち上がったら――。

「成美!」

遠くから呼びかけられ驚いて振り向くと、スーツ姿の朝陽が駆けてきた。

成美の前で足を止めた夫は、顔をしかめて苦しそうに肩で呼吸している。

「朝陽さん、どうしてここにいるんですか!?」

すべて事後報告するつもりでいたので連絡していない。

どうやって居場所を知ったのかと不思議に思ったら、大声で叱られた。

「どうしてじゃないだろ! 身重の体でなにやってんだ!」

夫の本気の怒り顔を見るのは初めてで、成美はビクッと肩を振るわせた。

「心配かけてごめんなさい。あの、これには事情が――」

「ネックレスを探していたんだろ。三十分前に母から電話がかかってきたから知っている」

朝陽は怒りを抑えようとするかのように目を閉じて深呼吸し、話を続ける。

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