愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
いい母親になろうと張りきっていたため気力は十分だったのだが、体に無理がたたって倒れてしまったのだ。

ちょうど成美の両親が孫に会いに来ていた時だったので、救急車を呼んでくれて事なきを得た。

両親は朝陽にも連絡し、その後は成美の自宅で清香の世話をしてくれている。

(私のせいで両親と朝陽さん、清香にも迷惑をかけてしまった)

「すみませんでした」

「いや、俺の方こそ。育児休暇を取れず申し訳ない。もっと協力すべきだったと反省している」

社員には育児休暇を勧めているが、社を率いる立場の朝陽の代わりはなく、残念ながら出産日しか休めなかった。

もっと協力すると言ってくれても、時間的に無理がある。

仕事がある夫に夜間の育児をお願いするのも気が引けた。

(生後二か月だから母親が睡眠不足になるのは仕方ないよ。でも食事は意識して取るようにしないと)

赤ちゃん優先で忙しく動いていたため、自分の食事を忘れることも度々だった。

それくらいしか改善できそうにないと考えていたら、夫に提案される。

「平日の俺のいない時間に成美がひとりで育児をしないよう、ベビーシッターを雇おうと思う」

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