愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「あ、ありがとうございます……。それで、あの時というのは?」
「教えたいけど、残念ながら時間切れだ。実は緊急事態と言われて、すぐに出社しなければならなくなったんだ。見合いを申し込んでおきながら、先に失礼してすまない。次に会った時に必ず話すから許してほしい。連絡先を交換しよう」
「わかりました」
気になるけれど、緊急の仕事だと言われたら引き留めるわけにいかない。
携帯電話を取り出した成美は、通話無料のSNSアプリで朝陽と連絡先をスムーズに交換した。
母に退席の挨拶をして出ていく彼と入れ違いに、デザートが運ばれてきた。
桃が贅沢に飾られたバニラアイスクリームと和三盆のロールケーキ、抹茶が並べられ、襖が閉まる。
すると、いつも冷静沈着な母が珍しく興奮して成美の袖を引っ張った。
「藤江さんと知り合いだったの? どうして教えてくれないのよ」
「名前も知らなかったんだから、知り合いとは言えないよ。私だって驚いたんだもの」
「教えたいけど、残念ながら時間切れだ。実は緊急事態と言われて、すぐに出社しなければならなくなったんだ。見合いを申し込んでおきながら、先に失礼してすまない。次に会った時に必ず話すから許してほしい。連絡先を交換しよう」
「わかりました」
気になるけれど、緊急の仕事だと言われたら引き留めるわけにいかない。
携帯電話を取り出した成美は、通話無料のSNSアプリで朝陽と連絡先をスムーズに交換した。
母に退席の挨拶をして出ていく彼と入れ違いに、デザートが運ばれてきた。
桃が贅沢に飾られたバニラアイスクリームと和三盆のロールケーキ、抹茶が並べられ、襖が閉まる。
すると、いつも冷静沈着な母が珍しく興奮して成美の袖を引っ張った。
「藤江さんと知り合いだったの? どうして教えてくれないのよ」
「名前も知らなかったんだから、知り合いとは言えないよ。私だって驚いたんだもの」