愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
ライチとグレープフルーツのさっぱりとした甘みが飲みやすく、四分の一ほどをごくごく飲むと、体の中心が火照った。

「美味しい?」

「はい。好きな味です」

「それはよかった。君が選んだそのカクテルは――」

チャイナブルーは〝陶磁器の青〟という意味で、それ以外にカクテル言葉というものがあるらしい。

「自分自身を宝物だと思える自信家。そういう意味があるんだ」

クスッと笑いながら言われて、成美は目を丸くした。

「私、自分をそんな風に思えません」

自分が嫌いではないが誇れる学歴や突出した特技はなく、友達も少ない。異性を引きつける魅力もない。

自信家どころかその逆で、好きだと言ってくれた朝陽の言葉も完全には信じ切れずにいる。

プロポーズは気まぐれかもしれないという不安を消せずにいたら、彼に手を握られた。

咄嗟に引っ込めようとしても今度は離してくれない。

「俺は君の婚約者だから、繋ぐ資格はあるよね?」

(でも、恥ずかしい)

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