悪役令嬢は推し神様に嫁ぎたい!〜婚約破棄?良いですよ?でも推しの神様に嫁ぐため聖女になるので冤罪だけは晴らさせて頂きます!〜
***

「さぁ、こちらへ」

 神殿についたティアリーゼは優しげな神殿長に奥の祭壇へと案内された。
 こぢんまりとした神殿はすぐに祭壇にたどり着く。
 祭壇には五柱の大神が横並びに祭られていた。

「でも本当によろしいのですか? 貴族のご令嬢の様ですし、先ほどの審査でもかなりの魔力をお持ちの様でしたが……」

 洗礼の準備をしながら神殿長は不思議そうに聞いてくる。

 人間には魔力と聖霊力が備わっている。
 魔力は世の理から外れた魔術を行う力で、聖霊力は自然の力を操る神術を行う力だ。
 違いを理解していないものはどちらも魔法だなどと言うが、原理が全く違う。

 例えば髪の色を変える場合、魔術は髪そのものの色を変える。だが神術は光の屈折を利用して違う色に見えるようにするのだ。

 神殿に着き洗礼希望の旨を伝えてすぐに行われた審査は、国に登録されている魔力を調べ犯罪歴などがないか調べるためのもの。
 魔力量も分かるため、ティアリーゼの魔力が多いことは知られている。

「御心配には及びませんわ。私、聖霊力も多いのです」

 神事には神術を使うため、魔力より聖霊力を重視しているのだろう。
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