悪役令嬢は推し神様に嫁ぎたい!〜婚約破棄?良いですよ?でも推しの神様に嫁ぐため聖女になるので冤罪だけは晴らさせて頂きます!〜
「お前一人で行動するのが少し心配だったのでな」

 力もあるし頭も良いが、どこか抜けていて今のように絡まれてしまうと思った。
 だそうだ。
 今まさに絡まれてしまった身としては反論の余地もない。

「それに……」

 つい……と、視線が流れストラはティアリーゼの肩に乗るピューラを見た。

「今朝、お前が気落ちしていると“それ”が伝えてきたのでな」
「え? ピューラが?」

 今朝と言うことはフリッツのことを思い出していたときだろうか?
 確かにあのときピューラは心配そうにしていた。

「そう、ですか……」

 大丈夫だと言ったのに、と思う反面。
 愛らしい小鳥の気遣いが素直に嬉しくもあった。

(……ん? ということは、ストラ様は私が気落ちしていると思って来てくれた、と?)

 言葉をそのまま受け取るとそういうことになる。
 だが、いずれ妻になる相手だとしても今は一介の神官に過ぎない。
 そんな相手のためにわざわざ神である彼が来てくれるものなのだろうか?

「その……もしかして他にも何かご用事が? よろしければ私もお手伝い致しますが?」

 自分の心配だけでストラが平民に扮してまで人間の地に下りてくるはずがない。
 他にも用事があるに決まっている。
 そう判断しての言葉だったのだが……。
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