悪役令嬢は推し神様に嫁ぎたい!〜婚約破棄?良いですよ?でも推しの神様に嫁ぐため聖女になるので冤罪だけは晴らさせて頂きます!〜
 そんな希少な毒をメラニーはどうやって入手したのかと疑問は浮かぶが、今はエリーの治療が先だ。

「《エルシュの復讐》は眠りを誘い、目覚めを阻害する毒。神術で毒を浄化しながら風の神の眷属・芽吹きの女神ワーフへ祈って目覚めさせるのが一番ね」

 治療法を定め、ティアリーゼは一度フロント氏に目を向ける。

「治療を始めようと思います」
「はい、お願いします」

 神妙な顔に頷きで返し、エリーに向き直る前にストラを見る。
 笑みを浮かべるわけでもなく、ただ頷くストラ。
 だが、ティアリーゼにはそれで十分だった。

 ストラが見守ってくれている。
 それだけで初めての治療に対する不安が(ほど)けていった。

 今度こそエリーに向き直り、彼女の安らかな寝顔を見る。
 祈りと神術を同時に行った事は無い。
 上手くできるか少々不安はあるが、その不安もストラが解かしてくれた。

(大丈夫、できるわ)

 自分に言い聞かせ、軽く深呼吸をする。
 そして祈りと術に集中した。

 まずは毒の浄化。
 聖霊力を流し込み、血流の流れを利用して毒素を集め燃やすイメージだ。
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