悪役令嬢は推し神様に嫁ぎたい!〜婚約破棄?良いですよ?でも推しの神様に嫁ぐため聖女になるので冤罪だけは晴らさせて頂きます!〜
 少しづつ慎重に流し込み、毒素を集めていく。

(あとは、燃やしながら祈りを……)

 燃やすイメージを明確にしながら聖霊力を送り込む。
 中々思うように燃えてくれず少し焦ったが、ジリジリと毒素が燃えて消えていく感覚がした。

(……風の神の眷属・芽吹きの女神ワーフよ。かの者に目覚めを)

 心で願い、祈る。
 神術に使っている聖霊力を祈りにも乗せ、二つのことを同時に行った。

 祈りは毎日行っているから問題なさそうだったが、燃やして浄化するのに手間取る。
 貴族は魔術を扱うものだからと言われ、あまり神術を使う機会がなかったことも原因かもしれない。

 それでも集中し、少しずつ燃やしていく。
 かなりの時間が経ったがなんとか毒素を消し去ることが出来た。
 同時に芽吹きの女神ワーフからの返礼である祝福が降り注ぐ。

 祝福は終わりの証。
 治療が完了したとみて聖霊力を流し込むのを止めると、エリーの瞼がゆっくり開いた。

「あ、れ……? 私……?」
「ああ……良かった」

 茶色の目が見え、唇が動く。
 声を聞いたことでちゃんと治療できたと実感すると、途端に力が抜けた。
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