悪役令嬢は推し神様に嫁ぎたい!〜婚約破棄?良いですよ?でも推しの神様に嫁ぐため聖女になるので冤罪だけは晴らさせて頂きます!〜
 その間ストラは基本的にはティアリーゼの側にいた。
 用事があるのか側を離れるときもあったが、そういうときは常にピューラを置いていってくれる。

 寡黙な神だが、態度や僅かな行動で自分を大切に扱ってくれていることが分かる。
 そうして共に過ごしているうちに、ティアリーゼはストラに推し神という以上の感情を覚えるようになっていた。
 ストラの妻となり、口づけも交わすような仲になるのならば良い傾向なのだろう。
 ただ、何というか……。

(やっぱり、恥ずかしいわ)

 恥ずかしいというか、照れるというか。
 ストラと夫婦になるために今頑張っているのだと思うと、どうしようもなく照れ臭い気分になるのだ。
 そうすると何もかも手を付けられない状態になってしまい困る。

「ダメよ、今は冤罪を晴らすことに集中しなくては」

 頭を振って雑念を追い払い書類に向き直るティアリーゼに、側にいたピューラが不思議そうに「ピュイ?」と鳴いていた。
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