悪役令嬢は推し神様に嫁ぎたい!〜婚約破棄?良いですよ?でも推しの神様に嫁ぐため聖女になるので冤罪だけは晴らさせて頂きます!〜
「申し訳ありません。あまりにも信じられなくて……」
(また言葉を交わせたわ! そして不機嫌そうなお声も重低音で素敵……)
お妃教育のたまものなのか、濡れそぼった身でも美しい所作で礼をとるティアリーゼ。
だが、心の中はお祭り騒ぎだった。
夢ではなく、死んだわけでもなく、目の前に焦がれた推し神がいる。
しかもそのお方に助けてもらえた。
幸福とはこのことだと心が震える。
歓喜の聖歌でも歌い出したい心地だった。
「まあよい、今後も私に祈りを捧げてくれ。それが私への礼にもなる」
近付きながら淡々と告げられた言葉にハッとする。
この白い空間から出されそうな気配に待って欲しいと顔を上げた。
「あのっ、ストラ様。このまま貴方様の御許へ行くことを許してはいただけないでしょうか?」
戻ったところで罪人扱いされるだけだ。
冤罪を晴らすことも出来なくはないが、出来たところでまた政略の道具にされるに決まっている。
元々王太子妃ではなく、ストラに仕える神官になりたかったのだ。
公爵令嬢の責務と思い諦めていたが、婚約者である王太子にいらぬと婚約破棄を宣言され湖に落とされた。
これ以上他人に人生を狂わされたくはない。
(また言葉を交わせたわ! そして不機嫌そうなお声も重低音で素敵……)
お妃教育のたまものなのか、濡れそぼった身でも美しい所作で礼をとるティアリーゼ。
だが、心の中はお祭り騒ぎだった。
夢ではなく、死んだわけでもなく、目の前に焦がれた推し神がいる。
しかもそのお方に助けてもらえた。
幸福とはこのことだと心が震える。
歓喜の聖歌でも歌い出したい心地だった。
「まあよい、今後も私に祈りを捧げてくれ。それが私への礼にもなる」
近付きながら淡々と告げられた言葉にハッとする。
この白い空間から出されそうな気配に待って欲しいと顔を上げた。
「あのっ、ストラ様。このまま貴方様の御許へ行くことを許してはいただけないでしょうか?」
戻ったところで罪人扱いされるだけだ。
冤罪を晴らすことも出来なくはないが、出来たところでまた政略の道具にされるに決まっている。
元々王太子妃ではなく、ストラに仕える神官になりたかったのだ。
公爵令嬢の責務と思い諦めていたが、婚約者である王太子にいらぬと婚約破棄を宣言され湖に落とされた。
これ以上他人に人生を狂わされたくはない。