モノクロに君が咲く
「寂しいよ、俺は。なんも相談してくれねーし、なんも頼ってくれねーし。いったい小中高一緒の幼なじみってなんなんだろうなあって虚しさいっぱい」
「……隼は、俺に相談してほしいの?」
「無理にとは言わんけど。でも、ひとりでなんでも抱え込んでないで話してくれてもいいんじゃないか、とは思う。いい答えなんか返せねえかもしんねーけど」
大きく伸びをしながら、隼はだいぶ日が傾いた空を見上げた。
「話せば楽になることって、あんだろ。どんなことでもさ」
長い付き合いのある隼から、こんなことを言われたのは初めてだった。
隼はいつものらりくらりと俺のそばにいる物好きだ。そのくせ、決して懐には入り込んでこない。こちらが鬱陶しいと思わない距離を絶妙に判断する。
そんな隼が、わざわざこうして促すようなことを言ってきたということは、それほど今の俺は見ていられないと──そう思ったのだろうか。
「……俺、今、鈴と付き合ってるんだけど」
「は?」
「……? 言ってなかったっけ」
「言ってねえよ! いつの間にそんな進展してたんだよ! まじか!? おまえが!?」
うるさい、と俺は眉間に皺を寄せた。大して距離が離れていない状態で叫ばれると鼓膜がやられる。隼といると、ときおりこういう被害に遭うから油断ならない。
「鈴さ、もうすぐ死ぬんだ」
「っ……は?」
「枯桜病で」
騒いでいた隼が一瞬にしてぴたりと硬直した。勝手に話してしまって鈴には申し訳ないと思いつつ、しかし今さら隠そうとは思えずに、俺は静かに続けた。
「だから俺は、なるべく鈴のそばにいようと思ってたんだけど……この前、接近禁止を言い渡されて」